これまでに、多くの特許関連文書が世に出ています。
中でも、特許明細書はその中核をなす文書であり、公開された数も膨大であることから、その中には多くの誤記が含まれています。
そうした明細書は、主に、弁理士さんや特許翻訳者さんによって書かれたものですが、自分自身も明細書の作成にかかわる者として、そうした誤記を見るたびに、「気を付けないと...」と身の引き締まる思いです。
ここで紹介する誤記は、誰もがやりがちな間違いであり、そうした誤記があるからといって、その明細書、ひいてはその特許の本質的価値が損なわれるものとは思いません。
一方で、そうした誤記があると、公的文書として後々まで残ってしまうため、自分自身への注意の意味も込めて、誤記をここにいくつか紹介したいと思います。
特許明細書によく見られる誤記
請求王

「請求王」は、実はかなりメジャーな間違いです。
なんだか、めちゃくちゃ過大な請求をする人みたいになっています。
「請求王1」とかになっている場合もあります。
これは、お気づきのとおり、請求項の間違いです。
「王」と「項」は、「ou」が共通していることから、「請求王」が誤って誕生してしまうのではないかと思います。
また、請求項の間違いは、「請求王」以外にも沢山見受けられます。
例えば、「制球項」、「請急項」、「性求項」、「請求高」、「請求好」、「請求抗」、「請求功」、「請求鋼」、「請求候」、「請求黄」、「請求考」、「請求公」、「請求甲」、「請求鉱」、「請求香」、「請求交」、「請求講」、「請求港」などが見つかります。
「請求項」は頻繁に登場するだけに、間違いも多いようです。
売国特許

実は、「売国特許」も結構メジャーな間違いです。
なんだか、売国行為を行うための特許のような響きです。
これは、「米国特許」の間違いです。
アルファベットで考えると、「ikoku」の部分が共通しているために、間違いやすくなっています。
何故この間違いに気が付いたかと言えば、私自身も「米国特許」とすべきところを、誤って「売国特許」と打ってしまったことがあるためです。
そのときはすぐに気が付いて修正したのですが、恐らく他の方も同じミスをするのではと思って検索したところ、やはり多くの「売国特許」が明細書中にありました。
押収特許

「押収特許」もかなり存在します。
これは、「欧州特許」の間違いです。
他にも「応酬特許」や「奥州特許」なども見られます。
皿に

「皿に」も結構メジャーな間違いです。
これは、furthermoreの意味の「さらに」の間違いです。
検索文字列を「る。皿に、」として検索してみると、この間違いを効率的に発見できます(文末の次の冒頭にくる「皿に」を発見できます)。
これの間違いは特許文書に限ったものではないですが、特許明細書には、多くの「皿に」が潜んでいます。
まとめ
このように、特許明細書中には多くの誤記があります。
法律文書といえども、やはりミスはあり、誰しも他人事ではないため、そういった間違いから学ぶことは多いと感じます。