高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、とても有名な分析手法です。
この記事では、HPLC用ポンプの構造について説明します。
HPLC装置の構成機器はいくつかありますが、中でも、保持時間を決定付けるポンプは特に重要です。
したがって、HPLC装置を扱う人はポンプの構造を知る必要があります。
ポンプの中には、送液を担うプランジャーと呼ばれる棒状部品(以下の写真のもの)が入っています。
ポンプ内では、このプランジャーがピストンのように往復運動し、それによって溶媒が送液されます。
そして、この「プランジャー」は、一般に、サファイアでできています
また、ポンプの送液部(ポンプヘッドと呼ばれます)の上下にはチェックバルブ(逆止弁)と呼ばれる逆流防止構造があります。
各チェックバルブの中には小さなボール(以下の写真の赤いボール)が入っています。
この「ボール」はルビー(赤)であることが多いです。
このボールをなくすと正常に送液できなくなるため、送液不良などで逆止弁部を分解する際には注意が必要です。
これらの部品は送液の要であるため、耐摩耗性を考慮して、硬度が高く、傷付きにくいサファイアやルビーでできています。
HPLC用ポンプの廃棄時には、これらの部品だけは記念に回収してみてもいいかもしれません
何の記念なんですか...
ところで、もう少しHPLC用ポンプの送液の仕組みを教えて下さい
はい、図を使って説明しますね
以下の図は、ポンプが溶媒を吸う時のポンプ内の状態です。

溶媒吸引時には、プランジャーが奥側(上の図では左側)に引っ込みます。
その際、陰圧が発生するため、下側(溶媒側)のチェックバルブ内のボールが引っ張られて浮きます。
これによって弁が開き、溶媒がシリンダー内に流れ込みます。
一方、上側(カラム側)のチェックバルブ内のボールは、陰圧によって引っ張られて弁を閉じます。
次に、ポンプが溶媒を吐く時の状態を以下の図に示します。

溶媒吐出時には、プランジャーが手前側(上の図では右側)に出てきます。
その際、陽圧が発生するため、下側(溶媒側)のチェックバルブ内のボールは押されて沈み込みます。
これによって弁が閉じて、溶媒の逆流が阻止されます。
一方、上側(カラム側)のチェックバルブ内のボールは陽圧によって押し上げられ、これによって溶媒がカラム側に流れます。
なるほど!よく分かりました
あの、1つ疑問があるのですが、この仕組みだと脈流が生じませんか?
つまり、送液量が一定にならないんじゃないかということですね? いい質問ですね!
池上彰さんか!
保持時間を安定させる上で、脈流を防止することは非常に重要です。
HPLC用ポンプでは、通常、ポンプヘッドが2連(並列が一般的)になっており、片方が溶媒を吸う時に、もう片方は吐くという挙動をとることで脈流を防止しています。
つまり、片方のプランジャーが奥側に引っ込む時、もう一方のプランジャーは手前側に出るという動きをしています。
なるほど、分かりました!
最後に1ついいですか
なんですか
もしかして、絵を描くの苦手なんですか
....

