英語で倒置がなされる理由は、文書の種類や文脈などによってさまざまだと思いますが、
お堅い英語文書で「何故倒置が行われるのか?」という問いに対する私の一つの回答は、「主語の塊が馬鹿でかいから」です。
私は単なる特許翻訳者なので、文法学者に言わせれば「それは違う!」となるのかもしれませんが、そんなことは知りません(笑)
これは私の独自解釈です。
しかし、特に、特許明細書などのお堅い英語文書を普段読む人には、おそらく少なくともある程度は納得してもらえるのではないかと思います。
以下に具体的に説明します。
主語を説明する修飾語句が多すぎる
特許明細書では、1つの単語を説明するための修飾語句がその単語の後に延々と続くことがあります。
例えば、A compound is provided. (化合物が提供される) のような単純な文ならそのままで何の問題もありません。
しかし、この「A compound」と「is provided」の間に数行~数ページにわたって化合物の修飾語句が続く場合、一番最後にちょこっと「is provided」がくることになります。
こうなると、「is provided」の前には多数の単語があるため、何が提供されるのか、つまり、何が主語なのかが非常に分かりにくくなります。
このような場合、Provided is a compoundと倒置することで、読者は、最初に「あぁ、化合物が提供されるんだな」とすぐに認識できます。
そのため、その後にその化合物の修飾語句が沢山続いたとしても、「あぁ、これは提供化合物に関する説明なんだな」とスムーズに文章を読み進めることができます。
結論
特許明細書などのお堅い英語文書で倒置がなされる理由は、「主語馬鹿デカ問題に対処するため」。
フォーマル感を出したいという意図もあるのかもしれませんが、実際問題としては上記の理由/効果が大きいように私は感じます。